つながりを取り戻す
ついつい人のことを優先し、一人になるとどっと疲れてしまったり…。
「人は人、自分は自分」と思っているのに、気づけばいつも人と比べて落ち込んでしまったり…。
そんなことを繰り返し
「いつまで頑張り続ければいいんだろう…?」
「私、本当はどうしたいんだろう…?」
「このままでいいのかな…?」
私の頭の中では、長い間、同じ問いがぐるぐると堂々巡りをしていました。
苦しさから抜け出そうと、素敵に見える人の仕草を真似したり、自己啓発の情報を片っ端から追いかけたり、一生懸命だったことは確かです。
ただ、頑張る方向性が間違っていました。
ずっと自分の外側ばかりに意識を向けていました。
でも、苦しさから抜け出す糸口は、自分の内側にありました。
人間は本来、大丈夫な存在
心理学者のカール・ロジャーズは、以下のように提唱しました。
人間には生まれながらにより良く成長しようとする力が備わっている
この言葉は
「自分には何かが足りない」
と補うことばかり考えながら生きてきた私にとって
「私の中にもそんな力があるんだ」
「私にも幸せになれる可能性があるんだ」
そう、希望を与えてくれるものでした。
そして、それは、息子の子育てをきっかけに出会った「森のようちえん」の保育に携わる中で、確信へと変わっていきました。
たとえば、二人の子どもが喧嘩をした時のこと。
大人たちはすぐに謝らせたり、仲直りの仕方を教えたりすることはなく、危険がない限り、子どもたちの様子を見守っていました。
子どもたちは、「ごめんなさい」と口にすることはありませんでした。
でも、一旦距離を置きながらも、お互いのことをチラチラ見て、気にかけている様子。
しばらくすると、自分たちのタイミングで話し出し、自分たちなりのコミュニケーションで和解をして、また一緒に笑顔で遊びはじめたのです。
大人から教えられたり、何かを与えられたりしなくても、自分たちなりの「より良い方向」に向かって自発的に動いていく。
そんな子どもたちの姿に
「やっぱり、人間は最初から、よりよく生きようとする力を持っていたんだ」
そう実感させてもらいました。
ただ、自分の意図とは反して、傷ついたり、我慢したり、人の期待に応えないといけなかったり…
そんな経験を繰り返していくと、
「私はダメだ」
「もっと頑張らなきゃ」
「ちゃんとしなくちゃ」
という思いが少しずつ積み重なっていきます。
そして、そんな思いに覆われて、次第に
「自分が何を感じているのか」
「本当はどうしたいのか」
といった自分の内側にある感覚や感情を捉えにくくなり、本来持っている力を発揮できなくなってしまうのです。
悩みの根っこにあるもの
私のコーチングを受けてくださった方の多くも、夫婦関係や親子関係、仕事や将来への不安など、対人関係や社会生活に悩みを抱えて相談にお越しくださいます。
でも、お話を聞いていくと、その根底には
「自分の気持ちが、わからない」
というような自分の内側の悩みが隠れていることがほとんどです。
相手が何を感じているのかは、よくわかる。
何を求められているのかも、察することができる。
けれど、
「あなたは、どうしたい?」
と聞かれると、わからない。
長い間、自分の気持ちよりも周りを優先して生きてきた人にとって、それは決して不思議なことではありません。
対人関係で悩んでいるように見えても、仕事や社会との関わりで苦しんでいるように見えても、その根っこにあるのは、自分自身に対する認識が少しずつズレてしまっていたり、自分自身のことを掴めなくなってしまっている状態。
だから私は、「自分とのつながりを取り戻す」ことから始めることが大切だと考えています。
自分とのつながりを取り戻す
私が考える「自分とつながる」とは、
自分の心や身体は、今、何を感じているのか。
本当は何を望んでいるのか。
自分は何を大切にしたいのか。
心や身体の声に耳を傾け、少しずつ自分自身を知っていくこと。
そして、自分の中にあるものを、一旦、良い・悪いと判断せず、
「ただあるもの」として認め、受けとっていくこと
です。
悲しみや、怒りや、やるせなさ。
そんな感情を抱えている自分もいる。
同時に、
幸せになりたい。
こんなことをしてみたい。
こんな未来を生きてみたい。
そんな願いを持つ自分もいる。
どちらか一方が「正しい」のではなく、どちらも「本当の自分」の一部。
だから、すべて、あっていい。
でも、今、あなたはどう感じているでしょうか?
きっと「よくわからない」と感じている方もいると思います。
特に、これまで、自分よりも周りを優先することが当たり前になっていた人にとって、自分の感情や感覚は、むしろ「見ないようにしてきた」もの。
「自分の声を聞く」
「すべて、あっていい」
そう言われても、戸惑う方がほとんどです。
過去の私が、そうであったように…。
「わからない」
その感覚もまた、大切な自分の声のひとつ。
すぐにしっくり来なくても、大丈夫。
まずはほんの少しだけ、日常の中で自分と対話する時間をつくり
「今、自分のカラダのどこかに力が入ってないかな?」
「もし誰にも気を遣わなくていいとしたら、どうしたいのかな?」
そうやって、少しずつ「今、ここ」の自分自身の心と身体の声に耳を傾けてみるところからはじめてみてください。
そして、慣れてきたら
「あの時、私はどう感じていたのかな?」
「本当はどうしたかったのかな?」
「過去」の自分にも思いを馳せてみてください。
こうして、自分自身と対話を積み重ねながら、過去の自分も、今の自分も、ジャッジせず「ただそこにあるもの」として、受けとっていく。
すると次第に、「自分」という存在の輪郭が自分なりに見えてくる。
「完璧にわかる」ということはないけれど、少しずつ「自分とつながっている」という感覚を取り戻せるようになってきます。
自分とつながることで、広がっていく
自分とつながっている感覚を取り戻していくと、人や社会との関わり方も少しずつ変わっていきます。
サポートさせていただいた、あるクライアントさんの話です。
その方は長い間、何か人から頼まれると
「私が頑張らなきゃ」
「引き受けなければ大変なことになる」
と感じ、断ることができませんでした。
相手の方に利用されたり、わがままを押し付けられたりすることも多く、人と関わることが億劫になっていました。
どうすれば良いのかわからず、ずっとモヤモヤしたり、行き詰まり感を抱えていたと言います。
でも、自分に起こった出来事と、そこで沸き起こった感情や考え方をひとつひとつ掘り下げて見つけていくと、ある時、こう気づいたそうです。
「これは親との関わりの中で身につけた考え方なだけで、私がやらなければいけないわけじゃない」
その後、「私がやらなきゃ!」という気持ちが湧いてくることはあっても、「これは本当に私のやるべきことなのだろうか?」と、一呼吸置いて考えられるようになったそうです。
また、無理強いされたとしても、「この人は、この人の考え方。私は、私の考え方でいい」と思えるようになったことで、断ることに罪悪感を抱かなくなったと話していました。
嫌われないために人に合わせ続けるのではなく、相手を大切にしながら、自分も大切にする。
相手との間に、そんな心地よい境界線を持てるようになると、次第に自分の力を、仕事や活動の中で活かしたいという思いが芽生えます。
そして、それが実現できた時、
「このままの私で大丈夫」
自分への信頼感がより高まります。
このように、「自分」を出発点に、幸せに生きるために必要な人や社会とのつながりは育まれていきます。
つながりを取り戻す、ひとつのヒント
自分とのつながりを取り戻したくても、何から手を付けていいかわからなかったり、「こうすべき」などの考えが邪魔をしてしまうことも少なくありません。
そんな時、私は
自然とつながる
ということが、自分とつながる助けになると考えています。
これは、私自身が山々に囲まれた自然豊かな環境で育った経験や、森のようちえんでの子育てを通し、実感したことです。
現代の生活では、スマートフォンやパソコンから、常にたくさんの情報が入ってきます。
「こうした方がいい」
「こうあるべき」
そんな「他人の目」や「その場の正しさ」にばかり意識が向き、心も身体も休まる暇がなくカチコチになって、自分の内側の感覚をキャッチする感度が下がりやすい。
でも、人間も自然の一部。
本来、まっすぐで答えがはっきりしている人工物と違って、自然のものは曖昧で揺らぎのあるもの。
「頑張れない自分」
「正しくできない自分」
「うまくいかない自分」
そんな、揺らぎのある自分も、本来はあっていい。
外に出て
空の移ろいを見る
風に当たる
波の音を聞く
自然の中にある揺らぎに触れることで、張りつめた心や身体が緩み、自分の内側の感覚に気づきやすくしてくれる。
自然とつながることは、自分とのつながりを取り戻す、大切な入り口のひとつだと考えます。
つながりを取り戻し、自分らしく生きる
私にとって「自分らしく生きる」とは、好きなことだけをすることでも、思うがまま自分勝手に生きることでもありません。
人や社会とのつながりを感じながら、自分自身の人生を、自分で選び、決めていくこと
だと考えています。
そして、そのために、まず
「今、どう感じてる?」
「本当は、どうしたい?」
などと自分に問いかけ、自分との対話を積み重ねていくことを大切にしています。
出会ってくださった方が、自分とのつながりを取り戻し、育むことで、
「私は、ダメ」が「私は、大丈夫」へと変わり、
安心と勇気を持って歩んでいけるよう、一緒に歩みながら応援させてもらう。
それが、私のコーチングです。

